ボルシチの味

打ち出の小槌の如く私が豆に与えた百八つの舐めは、女から洩れ出る吐息を導いた。自らの存在は他人に依ってしか確認できないのだろうか。私はいま知人の人妻を犯したいと思っているし、実行することも可能だが、私の人生がまだ続くのだと仮定したときに、厄介な問題を孕むことになるだろう。

知人に借りた本が面白くなく、三ページ飛ばしで読んだ。返却する際にどのようなコメントをすればいいのかわからないが、この煩わしさこそ生きている実感に他ならないのかもしれない。ゴールデンスランバー