葬式

10:00 開始
OP:ヘビーローテーション
10:30
参列者(4名以下)から罵倒の言葉
「死んでよかった。一族の恥でした」
「もっと早く死んでいればよかったのに」
「誰だか知りませんが呼ばれたのできました」
「早く焼却してください」
11:00
茶碗を割る
11:30
火葬場
一同より愚痴
「こんな人間は生まれてこなければ良かったのに」
「早く帰りたいです」
12:00
解散

葬儀費用は合計200万円。
自殺する際に230万残していたので、個人負担で葬儀を挙げることができた。

ボルシチの味

打ち出の小槌の如く私が豆に与えた百八つの舐めは、女から洩れ出る吐息を導いた。自らの存在は他人に依ってしか確認できないのだろうか。私はいま知人の人妻を犯したいと思っているし、実行することも可能だが、私の人生がまだ続くのだと仮定したときに、厄介な問題を孕むことになるだろう。

知人に借りた本が面白くなく、三ページ飛ばしで読んだ。返却する際にどのようなコメントをすればいいのかわからないが、この煩わしさこそ生きている実感に他ならないのかもしれない。ゴールデンスランバー

私が目覚めた理由

或る時、私はいつものように温かい女のそれを味わっていた。しかし、その日は何故だか酸味が強烈だったのだ。私は一度舐め始めたならば、相手が腹筋を絞るようなあの痙攣を始めるまで、舐める動作を決して止めたことはなかった。私はいつだって、女のあれを本当に食べたいとすら思っていたものだ。しかし、その日は違った。熟成した酢のようで、しかしとても強い癖がある味。これほど感動と嫌悪と性的興奮を呼び起こす味は、これまで無かった。そして私は、記憶に深く刻み込まれたあの味を、やがてもう一度味わいたいと思うようになった。特訓をするようになったのはそれからだ。私はいつも五感を研ぎ澄ますようにしている。あの味を、もう一度味わう為に。もう一度あれを嚥下する時に、恍惚たる幸福で喉を満たすことができるだろう。酢辣湯麺に入れる酢の量を増やして、私は今日もあの女を味わうことを夢見ている。

あなたは高浜虚子ですか

サーシャよ、覚えているかい。

下着の上から君の匂いを探るのが私はとても好きだった。

君の下着に残る洗剤と太陽の匂いと、その内側から滲み漏れてくる君自身の懐かしい匂い。それらが私の鼻腔の奥を突くたびに、原始的な喜びと幸福が私の心を満たしていたんだ。

君の匂いはその時々によって違った。君の匂いから若い酸味や芳醇な甘味を感じることもあったし、懐かしい潮の香りを感じることもあった。僕はそこから、君の膣の中に濃密な林檎の果実が潜んでいたり、どうしようも無く官能的な魚の卵が眠っているのだと想像したものだ。

あれからもう長い年月が経つ。君は幸せになっただろうか。僕はあれから何人かの情人と寝たが、君ほどの香りをまだ見つけることはできない。もうじきまた冬が来る。君の匂いは凍て付く空気の中に閉じ込められてしまい、僕はもうそれを味わうことはできなくなるかもしれない。

そんなことを、抱き合う女の汗ばむ体から放たれる淫靡な香りを感じながら思っていた。

中島みゆきの唄に「糸」というのがあって、私はそれがとても好きだった。記憶では確かこんな歌詞だった:「縦の糸は私 横の糸はあなた 織り成す布はいつか誰かを暖めるかもしれない」


味の素を食べ過ぎたあの子はどうなったのだろう。
白濁した液を性器から流しながら私と貴女は今日も繋がっている。糸は様々な味がする。酸味があるものや甘味を感じられるもの。蕎麦をすするような音を立てながら、私は彼女の性器の上部に付属する豆を震わせていた。

「いっぱい出たね」の一言で

私たちはいつも相手が微妙な嘘をついていると知りながら、それを気付かぬ振りをするのがエチケットとされてきた。


表情は、私たちに多くの情報を与える。本当に演技が上手い人間もいる。だが、その台詞を言う微妙な間、発言の後の顔色を見ていれば、相手がそのような巧みな人間であっても我々は勘付くことが出来るだろう。


常日頃他人の顔色を観察するのが趣味ならば、そのような違和感を気に留めておくことは難しくない。他人をそれとなく誘導することは、相手を非常に注意深く観察していればそれほど困難なことではなかった。


よく観察することだ。相手の表情だけでなく、仕草の変化を舐めとるような注意深さで。脚の指先の緊張具合、頬の紅潮、指先の握力の変化、痙攣の度合い、瞳の潤い、吐息の匂い。微細な変化を見逃してはならない。もっと観察しよう。そしてもっと舐めてみよう。我々はまだ出来るはずだ。どうして君は満足するのか?それが君の限界なのだろうか?恥をもっと引き出すことは可能なのではないだろうか?君は彼女の何を知っていると言えるのだろうか?


色狂いと自他共に認められる、そんな人間に私たちはなりたい。そして、君もきっとなれるはずだと信じている。私たちはやがて破滅するだろうが、いつまでも君の幸運を願っている。君が君自身を真に色狂いと認識するその日まで。

千秋楽(八百長)

もう佐々木希にしか興味がない、と言って行方を眩ました友達。


本当は、鶯谷の風俗に出かけていたんだね。


それを知って安心したんだ。


君には、もう手首がなくなっているのだから、どこへも行くことなど出来やしない。


ホウレンソウを食べよう。


いや、やめよう。(数時間後に、自殺)